カフェにて6
町外れの一角に、彼は新居のマンションに引っ越した。部屋は3LDK。カフェ風の、
そのインテリアは、裕太と最初に出会ったカフェを、連想させる。ふたり藤の椅子に
クッションをひいて、カフェオレを、飲んでいた。村上春樹の、文庫本を読みながら、
彼は言った。「指輪を買おうか?」ふたりで、郊外のショッピングモールの、アクセサリー
店を、覗いてみた。ペアのリングで、クロスの刻印がしてあるのを、見つけた。「これ、
いいね。」彼はすぐに、ペアリングを、レジに持って行き、料金を、支払った。
「外れないようにね、きついの、選んだんだ。」彼は言った。「クロスの意味は、ふたりが、ク
ロスしているって意味。ずっとね。」部屋のイエローのベットに、ふたりで、寝転び、
朝まで窓から、差す、月明かりを見ながら、語り合っていた。「一緒に暮らそうよ。」彼が言うと、
辺は、銀色の、星空に変わった。「永遠って信じる?」彼が言った。「この、星空のよ
うにね。」私が答えた。辺りは、やがて、朝日が、カフェ風の、部屋を、オレンジに、染めていった。